1. あ行・か行の用語(あ〜こ)

按分(あんぶん)
複数の目的・用途にわたる費用を一定の割合で分割して計上すること。例:出張と観光を組み合わせた旅行の費用を「業務分60%・プライベート分40%」に按分して経費計上する場合に使用。旅費規程の条文例:「業務と私的目的を兼ねた旅行については、業務目的の割合に応じて按分した額を支給する。」
一時出張(いちじしゅっちょう)
通常の勤務地を離れて短期間(通常数日以内)行う出張。長期出張・転勤と区別するために使用。旅費規程では出張の種類として「一時出張」「長期出張」「海外出張」などを区分して日当額を設定する場合が多い。
インボイス(適格請求書)
消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)において、仕入税額控除に必要な請求書の形式。旅費の交通費・宿泊費を経費として消費税の仕入税額控除を受けるには、原則として適格請求書(インボイス)の保存が必要。ただし公共交通機関(電車・バス等、3万円未満)は特例により不要。
役員(やくいん / えきいん)
法人の取締役・監査役・代表社員など、法令または定款に基づき法人の業務執行や監督を担う者。旅費規程では「役員」「一般社員」「パート・アルバイト」などを区分して日当額を設定することが多い。
海外出張旅費(かいがいしゅっちょうりょひ)
国外への出張に伴い支給される旅費・日当・宿泊費の総称。国内出張と比べて日当額が高く設定されることが多い。外国為替の変動も考慮した設定が必要。
勘定科目(かんじょうかもく)
会計上、取引を分類するための項目。旅費に関連する主な勘定科目は「旅費交通費」。交通費・宿泊費・日当はすべて旅費交通費として計上することが一般的。

2. さ行・た行の用語(さ〜と)

実費精算(じっぴせいさん)
実際にかかった費用を領収書等の証拠に基づいて精算する方式。交通費・宿泊費はこの方式が基本。定額支給(日当)と対比して使われる概念。旅費規程の条文例:「交通費は実費精算とし、領収書または交通系ICカードの利用明細を添付すること。」
社会通念上相当(しゃかいつうねんじょうそうとう)
社会一般の常識から見て妥当と認められること。旅費日当の金額が非課税と認められるための要件。国税庁の通達(所得税基本通達9-3)でも「通常必要と認められる部分」という表現が使われる。同業他社の水準・役職等を考慮した金額設定が求められる。
出張(しゅっちょう)
業務上の必要により、通常の勤務地・事業所を離れて他の場所で業務を行うこと。旅費規程では出張の定義(最低移動距離・時間など)を明記することが推奨される。条文例:「出張とは、業務のために通常の勤務地から片道○km以上または○時間以上離れた場所へ赴くことをいう。」
出張申請書(しゅっちょうしんせいしょ)
出張前に提出する書類。出張日・行先・業務目的・交通手段・費用概算などを記載する。税務調査において出張の実態を証明する重要な書類であり、旅費規程で提出を義務づけることが推奨される。
出張精算書(しゅっちょうせいさんしょ)
出張後に提出する費用精算書。実際の交通費・宿泊費・日当の請求額を記載し、領収書等を添付する。旅費規程で提出期限(出張後○日以内など)を定める。
損金(そんきん)
法人税の計算上、益金(収益)から差し引ける費用・損失のこと。個人の所得税における「必要経費」に相当する概念。日当・交通費・宿泊費は旅費規程に基づき合理的であれば損金算入可。
定額支給(ていがくしきゅう)
実費に関係なく、規程で定めた一定金額を支給する方式。日当がこの方式の代表例。実費精算の手間を省けるメリットがあるが、実費が定額を大幅に下回る場合や上回る場合のルールも旅費規程で定める必要がある。
適格請求書発行事業者(てきかくせいきゅうしょはっこうじぎょうしゃ)
インボイス制度において、消費税庁長官に登録した事業者。交通費・宿泊費の領収書が仕入税額控除の対象となるには、原則として発行者が適格請求書発行事業者である必要がある。

3. な行・は行の用語(な〜ほ)

日当(にっとう)
出張中の食費・雑費などを補填するために定額で支給される手当。旅費規程に基づき支給され、通常必要な金額の範囲内であれば受取者の所得税は非課税。法人の損金として計上可。日帰り日当・宿泊日当に分けて設定することが多い。
日当の上限(にっとうのじょうげん)
法律上の上限額は定められていないが、「社会通念上相当な金額」の範囲内であることが非課税の要件。過大な金額は税務調査で否認されるリスクがある。同業他社水準・役職・移動距離を考慮した設定が推奨される。
非課税旅費(ひかぜいりょひ)
所得税法第9条第1項4号に基づき、受取者の所得税が課税されない旅費。旅費規程に基づく通常必要な日当・交通費・宿泊費がこれにあたる。非課税の要件は「業務上の旅行であること」「旅費規程に基づいていること」「社会通念上合理的な金額であること」の3点。
費用精算(ひようせいさん)
業務上発生した費用を会社が従業員・役員に支払うプロセス全般。旅費の実費精算もこれに含まれる。電帳法対応では、精算書の電子保存が認められるようになっている。
附則(ふそく)
規程の本則に付随する規定。旅費規程の施行日・改廃手続きなどを定める。条文例:「この規程は、○年○月○日より施行する。」

4. ま行・や行・ら行の用語(ま〜ろ)

マイカー利用(まいかーりよう)
業務上の移動に私有車(自家用車)を使用すること。旅費規程では「マイカー利用時の交通費」として距離単価(例:1kmあたり15円)を設定するケースが多い。会社所有車との区別を規程で明確にすることが重要。
役員旅費(やくいんりょひ)
役員(代表取締役・取締役・監査役等)が出張した際に支給される旅費・日当の総称。一般社員と異なる金額設定が多く、旅費規程で明記する必要がある。一人社長の場合も旅費規程で役員分を定義する。
旅費規程(りょひきてい)
役員・従業員が業務上の出張・移動を行った際の旅費(交通費・宿泊費・日当等)の支給基準・手続きを定めた社内規程。旅費日当の非課税性を担保するための最重要書類。株主総会・取締役会・社員総会で決議・承認して正式に制定する。
旅費交通費(りょひこうつうひ)
会計上の勘定科目。業務上の出張・移動にかかる交通費・宿泊費・日当をまとめて計上する科目。法人税の申告書でも「旅費交通費」として計上される。
領収書(りょうしゅうしょ)
代金の支払いを証明する書面。交通費・宿泊費の実費精算には原則として必要。電帳法により、2024年1月以降は電子取引(クレジットカード・電子マネー等)で受け取った領収書は電子保存が義務化されている。

5. 関連法令・通達の旅費用語

法令・通達 旅費への関係 ポイント
所得税法第9条第1項4号 旅費の非課税規定 業務上の旅行で通常必要な旅費は非課税
所得税基本通達9-3 非課税旅費の判定基準 「通常必要と認められる部分」の旅費が非課税。過大な日当は課税対象
法人税法第22条 損金の定義 旅費・日当は損金算入可能な費用
消費税法第30条 仕入税額控除 交通費・宿泊費の消費税は仕入税額控除可能(インボイス要件あり)
電子帳簿保存法 領収書の電子保存 電子取引の証拠書類は電子保存が義務。スキャン保存も条件付きで可

6. 電帳法・インボイス制度の旅費関連用語

電子帳簿保存法(でんしちょうぼほぞんほう)
帳簿・書類を電子データで保存することを認める法律。2024年1月以降、電子取引(インターネットでの購入・クレジットカード明細等)の証拠書類は電子保存が義務化。旅費では、オンライン予約の宿泊領収書・交通系決済の明細などが対象となる。
スキャナ保存(すきゃなほぞん)
紙の領収書・書類をスキャン(撮影)して電子保存する方式。電帳法で認められた保存方法。解像度・タイムスタンプなどの要件を満たす必要がある。旅費では交通費・宿泊費の領収書をスマートフォンで撮影して保存することが認められる。
タイムスタンプ
電子データが特定の日時に存在したことを証明する電子的な証明。電帳法のスキャナ保存で領収書を電子保存する場合、タイムスタンプの付与が必要(または規程に基づく方式での保存)。TAXAVEでは自動タイムスタンプ機能を提供。
公共交通機関特例(こうきょうこうつうきかんとくれい)
インボイス制度において、公共交通機関(電車・バス等)の乗車賃で3万円未満のものは適格請求書の保存が不要となる特例。実務上、電車通勤・出張の電車代はこの特例の対象となるケースが多い。

7. 旅費規程での用語の使い方と条文例

旅費規程に頻出する用語を正しく使った条文の例を示します。これらの文例を参考に、自社の実情に合わせた旅費規程を作成してください。

用語 条文サンプル
出張の定義 「出張とは、業務の都合により通常の勤務地から片道50km以上の地点へ赴き、業務を遂行することをいう。」
日当(定額支給) 「日帰り出張の場合、役員には1回5,000円の日当を定額で支給する。なお、宿泊を伴う出張の場合は1泊につき10,000円を加算する。」
交通費(実費精算) 「交通費は実費を支給する。ただし、特急・グリーン車・タクシーの利用は会社の承認を得た場合に限る。」
精算手続き 「旅費の精算は、出張終了後5営業日以内に出張精算書(所定様式)および領収書等を提出することで行う。」
社会通念上相当 「日当の金額は社会通念上相当な範囲で設定するものとし、毎年見直しを行う。」
旅費規程の用語整理のポイント
  • 「日当」と「交通費(実費)」は別物として明確に定義する
  • 「実費精算」と「定額支給」のどちらを採用するかを項目ごとに明記する
  • 「社会通念上相当」な金額設定のため、業界水準・役職を参考にする
  • 電帳法対応:電子取引の証拠書類は電子保存のルールを規程に追記する
  • インボイス:公共交通機関3万円未満は特例適用で領収書不要と明記する