1. 同一労働同一賃金と旅費規程の関係
パートタイム・有期雇用労働法により、正規・非正規社員間の不合理な待遇差が禁止されています。「出張旅費(実費弁償)」は業務目的の実費補填のため同じ業務に従事すれば同様の旅費支給が適切です。「通勤手当」は特に格差が問題になりやすい項目です。
| 待遇項目 | 同一賃金の対象 | 実務上のポイント |
|---|---|---|
| 通勤手当 | 対象(格差は不合理) | 正規・非正規問わず同等の通勤費支給 |
| 出張旅費(実費) | 対象(同一業務なら同等) | 同じ業務の出張なら同様の旅費支給 |
| 日当(出張手当) | 対象(慎重な設計が必要) | 職務内容が同じなら格差は不合理になる |
| 宿泊費上限 | 職務レベルで設定 | 職位による格差は合理的な範囲内で可 |
2. 旅費規程の適用範囲の設計
- 旅費規程の適用範囲に「アルバイト・パート・有期社員も含む」と明記する
- 業務目的が同じ出張は正規・非正規同等の旅費(交通費実費・日当)を支給する
- 日当は「職位・職責」に基づいて設定し雇用形態(正規・非正規)で差をつけない
- 通勤手当は全雇用形態で同等の計算方法(実費または距離区分)を適用する
「正社員は日当あり・アルバイトは日当なし」という設計は、同じ業務内容であれば不合理な格差として問題になります。旅費は「職位・職務内容」で設計し、雇用形態で差をつけないことが重要です。
3. 実務上の格差是正方法
| 是正前 | 是正後 | 根拠 |
|---|---|---|
| 正社員のみ日当支給 | 全雇用形態に日当支給(職位別) | 同一業務なら同等の待遇 |
| 正社員のみ宿泊費支給 | 全雇用形態で宿泊費実費精算 | 業務上の宿泊は実費弁償 |
| 非正規は通勤手当なし | 全員に通勤手当(実費) | パートタイム法・均等待遇原則 |
| 外国人・期間工は旅費なし | 業務移動は全員旅費支給 | 雇用形態による格差は不合理 |
旅費規程の改定時期(毎年4月・給与規程改定時等)に同一労働同一賃金の観点から旅費・通勤手当の格差を点検し、不合理な格差があれば段階的に是正していくことが推奨されます。
4. 派遣社員の旅費・通勤手当
- 派遣社員の通勤手当は「派遣元」(派遣会社)の旅費規程で支給する
- 派遣先は派遣社員の旅費を直接支給しない(派遣元を通じて支給)
- 派遣社員に出張を命じる場合:派遣先が派遣元と協議して旅費負担方法を決める
- 2020年から適用の「同一労働同一賃金(派遣)」:派遣元は比較対象労働者と同等の通勤手当を支給
2020年の改正で派遣元は「労使協定方式」か「個別比較方式」のどちらかで同一労働同一賃金を満たす旅費・通勤手当を設計することが義務化されました。
5. よくある質問
職務内容が正社員と同じ業務の場合に格差をなくすことが原則です。ただし「アルバイトは本店での勤務のみ・出張が伴う業務は正社員が担当」という職務分担を明確にすることで旅費格差を合理的に説明できる場合があります。
業務上必要な出張を命じた場合はパート社員にも旅費(交通費・宿泊費)を支給することが必要です。旅費を支給しない場合は労働基準法上の問題(業務命令と費用負担の矛盾)が生じます。
役員と一般社員の格差は職責差として合理的です。しかし同じ業務内容の正社員とアルバイト間で日当に格差があると問題になる場合があります。職務内容・責任の差があれば合理的に説明できます。
6. まとめ
本記事の要点を整理します。
- 同一労働同一賃金の原則により正規・非正規同じ業務内容の出張旅費(実費・日当)に不合理な格差があると問題になる
- 通勤手当は特に格差が問題になりやすくパート・有期社員にも正規社員と同等の計算方法(実費・距離区分)を適用する
- 旅費は雇用形態ではなく職位・職務内容で設計して格差を職責差として説明できるようにする
- 派遣社員の通勤手当は2020年から労使協定方式または個別比較方式で同一労働同一賃金対応が義務化された
- 旅費規程の改定時期に同一労働同一賃金の観点から格差を点検し段階的に是正していく
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【免責事項】 本記事は一般的な情報提供を目的として作成されており、個別の税務アドバイスを提供するものではありません。記載内容は執筆時点の税法・税制に基づいており、今後の改正により変更される可能性があります。試算例・節税効果はあくまで参考値です。実際の税務処理・節税効果については、必ず顧問税理士または税務署にご確認ください。